25






神楽を置いて市中巡回に戻った沖田は、山崎と合流した。監察方は情報収集のために市中に紛れるため、隊服ではなく私服姿だった。

「何か掴めたか?」

と、沖田は言った。

「すいません、確かな情報は何も……」

山崎はしゅんとして答えた。これだけ調べても何も出てこないのが、悔しくてしょうがないらしい。

「よほど情報操作に長けてるんだろ。諦めないで頑張れ」

「他人事みたいに言わないでくださいよ。そっちこそ、巡回はどうなんですか? 怪しい奴とか、場所とかないんですか?」

「どうもこうもねぇよ。怪しいと思えば全部怪しく見えるっつーの」

「やっぱり、土方さんにあの事報告した方が……」

「何度も言ってんだろ。さんに断りもなしにできねぇって。ただ、万事屋んとこのチャイナが妙なこと言ってたぜ」

沖田はさっき会ったばかりの神楽について、山崎に話した。

「万事屋の旦那が役に立たないって、どういうことでしょう。さんのこと聞いてあんなに荒ぶってたのに」

「何か知っちまって、事情ができたんじゃねぇのか? 何にも手がかりがなくて心折れたみたいな言い方してやがったけど、旦那に限ってそれはねぇよ」

「だとしたらそれは何でしょう? 万事屋の旦那が動けない理由……?」

ふたりは腕を組んで考え込んだけれど、元々謎の多い銀時のことなので、考えたところでさっぱり分からなかった。

「俺、万事屋の方に少し探り入れてみます。旦那が何を掴んだか、確かめてきます」

「おぉ、頼んだ」

そこまで話して、沖田と山崎は別れた。

市中は、今のところ落ち着いている。静かすぎると言ってもいいくらいだ。これも、嵐の前の静けさというのだろうか。

しばらく歩くと、真選組のパトカーが検問をしていて、渋滞が起きている交差点に差し掛かった。パトカーの中に土方がいた。いい報告をしてやれるでもないので素通りしようとしたのだけれど、目敏い土方と目が合ってしまったので、沖田は仕方なくその窓の側に立った。

「お疲れさんです、土方さん」

「おう。収穫は?」

「ありやせん」

「即答かよ」

土方は椅子の背もたれにどかりと寄りかかって目を閉じた。その目の下に隈が浮いている。近頃よく眠れていないようだし、疲れきっているのだろう。同情はしないが、哀れだった。

の秘密を山崎と共有している手前、沖田と山崎は土方には秘密の極秘調査をしていると言ってもいい。土方にはまだバレていないが、調べが進めばそうはいかないだろう。

土方に、の秘密を打ち明けるべきだろうか。がずっと隠し通してきた秘密を、非常時とは言え勝手に話してもいいのだろうか。しかも、沖田や山崎が秘密を知っていることを、は知らない。正直なところ、沖田はこの問題を持て余している。山崎とふたりだけで決めてしまうのは早急すぎる気がするし、なによりの気持ちを優先すべきだと思う。

「何、黙り込んでんだよ? 疲れたか?」

車の中から、土方が嫌味っぽく言った。

「土方さんほどじゃありやせんよ」

「うるっせぇよ」

土方のその声にも、どこか力がなかった。




20141124