銀時と神楽、新八、それから桂とエリザベスが見舞いにやってきたときはさすがの
も驚いてしまった。桂は一級の指名手配犯だというのに変装のひとつもしていなかったのだ。
「桂くんまで来てくれたの」
「来ないわけにはいなかった。今回の件、本当にすまなかったな」
「桂くんが謝ることじゃないわ」
「いやいや、謝らせとけよ。攘夷志士に拉致られたことに変わりねぇんだから、同じ攘夷志士のこいつが謝るのは筋が通ってるだろ」
銀時は理屈のような屁理屈をこねて腕組みをする。新八と神楽は白い眼をして銀時を睨んだ。
「それを言ったら、あんただって元攘夷志士でしょうが」
「そうアル。しかももっと早く
を助け出せたかもしれないのに目の前で逃げ帰ってくるなんて、いくら謝っても足りないネ」
「それに、
がこんな目に遭ったのはお前と高杉のせいだろうが。高杉がここへ来ない以上、お前がふたり分謝らねば格好がつかんぞ」
「うるっせーなぁ、そうみんなで責めるなよったく」
いつもと変わらぬ四人を見て、
はほっとした。とくに銀時にはいつになく甘えたことを言ってしまったから、いつも通りに振る舞ってくれることが何よりありがたかった。
「そういえばちょっと聞いたんだけど、銀さんと高杉くんって、女の子取り合ったことがあるって本当?」
「はあ? なんだそれ?」
「あの人がそんなこと言ってたのよ。その女の子が私だって噂があったらしくて、それで取引に使えると思われたみたいなの」
「そうなのか? 銀時?」
「そんな覚えねぇけどな……」
銀時は腕組みをしてしばらく考え込み、何かを思い出したらしくはっと目を見開くと、みるみる青ざめて両手で顔を覆ってしまった。
「銀ちゃん? どうしたアルか?」
「何か嫌なことでも思い出しました?」
神楽と新八が顔を覗き込もうとするものの、銀時はいやいやと首を横に振って顔を上げない。桂とエリザベスにもばしばし背中を叩かれ、やがて口を開いた銀時の声は悲しみに上ずっていた。
「……ごめん、それ、風俗の話……」
「あ、そうなの? つまり指名した子がかぶっちゃったってこと?」
新八がゴキブリでも見るような目で銀時を睨む。
「あんた、戦争中に風俗通いなんかしてたんですか? なにやってんですかほんとに」
「しかもそれが原因で
がこんな目に遭うなんて、死んで詫びろヨ腐れ外道が」
神楽は銀時を蹴り倒すとその天然パーマの頭を踏みつけてぐりぐりと押しつぶした。銀時は痛々しい悲鳴を上げながら床にはいつくばって悲鳴を上げる。
「まったく、本当に昔から人騒がせな奴だな」
桂はそれを横目で見やりながら、
に耳打ちした。
「ところで、吉田利麿のことだがな。奴は逃げたぞ」
「え?」
桂は
の顔を見て意外そうな顔をした。
はあからさまに安心したような顔をしたのだ。
「なんだ。もっとがっかりするかと思ったのだが」
「そんな……。だってあの人本当に死ぬつもりみたいだったから……」
「それはそうだったのだがな。俺にとっては失いがたい必要な人材だったのだ」
「桂くんが逃がしてくれたのね」
「
にとっては、二度と顔も見たくない相手だろう。だが、これだけは理解してほしい。あいつはこの国の夜明けに必要な男なのだ。いつかきっとそれを証明してくれるだろう。もしチャンスがあったら、
に直接謝罪しに来ることもあるかもしれん。その時は、笑って受け入れてやってはくれないか? 根はいい奴なのだ」
は静かに微笑んでこくりと頷いた。
銀時の悲鳴が病室の外までこだまし、看護師が飛び込んでくるほど賑やかな一日だった。
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