同じじゃない世界で生きてるから
夜。
私はちっとも眠れず、仰向けに寝転がったまま暗闇の中で目を開いていた。
この町の夜は私の知っている夜と違って、暑いし明るいしうるさいし、ほとんど昼間と変わりがない。じっとりと湿った空気、閉じた障子の向こうが白んでいるのは、朝が来たせいではなくビル群の刺すような灯りを映しているからだ。夜中だというのに蝉の鳴き声は止まないし、ときどき、まだ起きている誰かの大きな声が夜をつんざいて聞こえてくる。
おかしい。
だって、これは夢の出来事のはずだ。
なのにどうして、ありとあらゆるものがこんなにもくっきりとした輪郭を持って、私の目や耳に迫ってくるのだろう。
今まで見た夢はそうじゃなかった。
空を飛んで鳥とたわむれたり、息継ぎもしないで海にもぐってイルカやカメと遊んだり、現実には起こりもしないことをぼんやりした意識の中で体験することが、今までの夢だった。
大人の私が不思議なキャンディを食べて子どもになったのが、今の私だという、そんなへんてこなことが起こるのは、夢の中でしかありえないはずなのに、この夢はどう考えても今までとは違う。
私は思い切り、頬っぺたをつねってみる。
痛い。
手の甲もつねってみる。
やっぱり痛い。
暑い、明るい、うるさい、痛い。
体中の神経が悲鳴を上げるように、そこらじゅうのものを捕まえて私の目の前に押し付けてくるようだ。
うつ伏せになって、ぎゅっと固く目を閉じる。
こんなに暑い夜なのに、背中と首の境目辺りにひやりとしたものを感じて、私は体が震えるのを止められなかった。
怖い。
もしかしたらこれは、夢ではないのじゃないかしら。だったら、何が現実なの? その境目はどこにあるの? だんだん、今ここにいる自分の存在さえ、不確かでつかみどころのないものに思えてくる。
私は小さな頃からずっと松陽先生の寺子屋にいた。そう思っていたけれど、その証拠はどこにある? 先生も寺子屋も、私が夢に見た幻で、そんなものはこの世のどこにも存在しないのだったら? 先生と寺子屋は私の夢の産物だったとしたら。
ひとりぼっちで眠らなければならない、この暑くて明るくてうるさくて痛い夜が、本当の現実だとしたら?
真っ暗な宇宙にたったひとり放り出されてしまったような気がした。
どこまでも広がる真っ暗な宇宙にひとり、手を伸ばしても何にも届かず、助けてくれる人もなく、上も下も分からない真っ暗闇を落ちていく。
胃の腑が縮んで吐き気がする。
暑いのに寒い。体ががたがた震える。
自分が本当にここにいるのか分からなくて、自分で自分の体を抱きしめてみる。けれど何も確かなものは掴めない。
怖い。怖い怖い怖い。
私はいてもたってもいられなくなって、着の身着のまま離れを飛び出した。
今夜は熱帯夜だ。
疲れているはずなのになんだか寝付けず、土方は蚊遣豚を隣に煙草を吹かしていた。湿度の高い空気は重々しく、風が吹いてもちっともさっぱりしない。
こういう時ばかりは、武州の田舎の夏が懐かしくなる。夜になればうだるような暑さは鳴りをひそめ、さわやかな風と鈴虫の鳴き声が、まるで子守歌のように心地良かったものだが、このアスファルトに覆われた江戸は、風も生ぬるいし夜になっても狂ったように蝉が鳴いていて騒がしいったらない。
ふいに、目の端に白いものが映り込んで、土方はぞっと肝を冷やした。
「……なんだ?」
呟いた声がみっともなく震えて、慌ててかぶりを振る。
別に、怖くなんてねぇし。
確かに盆は近いし、真選組に恨みを持って死んだ人間はそれこそ星の数ほどいるだろうが、そんなことでいちいちびびっていたら命がいくつあっても足りやしない。
刀を掴んで、そっと縁側を覗いてみる。死んだ人間に刀が通用するとは思わないが、何でもいいから手に握っていたかった。怖いとか、そんなんじゃない。幽霊なんているわけない。いるわけがないんだから、相手が生きた人間ならたたっ斬れるわけだし。別に、びびってねぇし。
がさっ、と植木の影から物音がした。
「だだだっだだ誰だそこにいいるのはぁ!?」
「……あ、すいません、
です」
土方は慌てて刀を背中に隠した。
「こんな時間に何やってんだよ? さっさと寝ろ」
は白い寝間着を着ていて、いたずらが見つかって逃げ場をなくしたような顔をして顔を背けた。
「……あの、寝付けなかったので、散歩してました。すいません……」
「あぁ、そうか。暑いもんな。ちょっとそこで待ってろ」
土方が一度部屋に入って戻ってくると、
は縁側にちょこんと腰掛けて、地面に届かない足をぶらぶらさせていた。
のそばに蚊遣豚を移動して、その隣に土方も腰を下ろす。
「氷枕、持ってるか?」
「いいえ」
「貸してやるよ。気休めみたいなもんだけど、意外といいもんだぜ」
「ありがとうございます」
は氷枕を膝に抱え、その冷たさに少しほっとしたような顔をした。
「一日、お疲れさん」
「そんなに疲れてません。お仕事もそんなになかったし」
「けど、慣れないところで緊張しただろ。この暑さだしな、疲れたのに気づいてないだけなんじゃねぇの」
「そんなこと……」
ふいに
が黙り込む。
土方は横目で様子をみやって、ぎょっとした。
は氷枕を抱えたまま、目に大粒の涙をためて唇を噛みしめていた。
「どっ、どうした?」
土方の動揺した声が引き金になったらしい。
は堰を切ったように泣き出した。
「ふ、ふえ、うえええええええええええええ」
「何だよ急に!? どうした!?」
「うえええええええ、ご、ごめん、なさいいいいいい、うええええええ」
は手放しに泣いた。
涙は途切れることなく頬を伝って、顎の先からぽたぽた落ちた。
あんまり激しい泣き方をするものだから、呼吸がついて来ない。ぜえぜえと肩で息をして、息を吸うたびに喉がひくついている。
そんな小さな体で、どうしてそんな大声が出せるのだろう。そのあまりの激しさに、土方は両手で耳をふさぎたくなってきたがさすがにそれは自重した。
土方は少し考えた後、そっと立ち上がって、大声を上げて泣き続けている
のそばを離れた。
の泣き声は、屯所中いたるところに響き渡っていて、山崎から捜査の報告を受けていた近藤の耳にも、それはしっかり届いていた。
「泣いてますね」
「泣いてるな」
ふたりは顔を見合わせて言い合った。
「どうしちゃったんでしょう、
さん。何か嫌なことでもあったのかな」
「今日はあまり仕事がなくて暇をしているようだとは聞いたがな」
「あのしっかり者の
さんがあんな風に泣くなんて……」
「けど、今は小さな子どもだからなぁ」
の泣き声は止まない。夏の間、鳴りやまない蝉の泣き声にも似ているが、聞きなれた蝉の声とは違い、子どもの泣き声というものは耳障りなものだ。
山崎は不安げに、泣き声のする方を見やった。
「ちょっと様子を見てきましょうか?」
「いや、
ちゃんのことはトシに任せているし、きっと大丈夫さ」
「でも」
「なんだ、山崎は
ちゃんを泣き止ませる自信があるみたいだな」
近藤はにやりと笑って言う。
「いえ、そんなんじゃありませんけど、ただ心配じゃないですか」
山崎が慌ててかぶりを振ると、近藤は豪快に笑った。
「そんなに心配しなくても、トシは慣れているから大丈夫さ!」
「副長は、武州時代から沖田さんの面倒見てたんでしたっけ。ちょっと想像ができないんですけど、どんな感じだったんですか?」
近藤は頬杖をつくと、懐かしむように目を細めた。
「トシがうちの道場に出入りするようになったのは、あいつが十七くらいのことだったんだがな、総悟はそれより先に入門していて、その時にはもう道場の誰も敵わないくらい剣の腕は達者だったんだ。周りからは神童と呼ばれたりしてな」
「沖田隊長はその頃……」
「確か八つだな」
「うわ、末恐ろしいですね」
「まぁ、甘やかされて育ったガキをそんな風に持ち上げっちまったら、天狗になっちまうのはお前も分かるだろう? トシはそんな総悟の鼻っ柱を折ったのさ」
「へぇ、さすが副長」
「けど、ここがトシのすごいところでな。道場では俺が先輩なんだから敬語を使えっていう総悟の言い分を素直に聞き入れっちまったんだよ」
「へぇ、またそれは酔狂なことを」
「道場に入った時期だけで先輩風吹かす十以上も年下のくそ生意気な子どもの言うことを、わざわざ聞く必要はねぇだろ。剣の実力でも勝った相手だ。けれどトシはそれを聞き入れた。それは並の神経でできることじゃねぇと俺は思うんだよ」
「だから沖田隊長は副長にあんなふてぶてしい態度なんですねぇ」
「それが総悟を甘やかすのに拍車をかけたのかもしれないとも思うけどな」
「あぁ、それはそうでしょう」
「それでも、トシがそうやって総悟に接してきたのは、親のいない子どもが心の内に抱えている闇を、トシもよく分かっているからだと思うんだよ」
ふと耳を澄ませると、いつの間にか
の泣き声は止んでいて、夜に響くのはしぶとく雌を求愛し続けてる蝉の鳴き声だけになっていた。
「泣き止んだみたいですね」
「そうだな」
近藤と山崎はそう言って、再び仕事に戻った。
土方が部屋に戻ってくると、
はどうにか泣き止んだようだったが、涙が引いた、というよりはむしろ泣き疲れたと言った方が正しそうで、まだ喉はひくひくいっているし、瞼は腫れ、真っ赤な顔には涙の痕がくっきり残っていてひどいありさまだった。
「少しは落ち着いたか?」
土方が声かけると、
は気まずそうな顔をして小さく頷いた。
土方は
の隣に腰を下ろすと、オレンジジュースの缶を差し出す。
「ほらよ」
は黙ってそれを受け取ったが、子どもの小さく弱々しい指では(特に大泣きして疲弊している今は)プルタブを引くのも一苦労のようで、見かねた土方は一度缶を取り返して口を開けてやった。
「……ありがとうございます」
「おう」
土方は缶ビールの口を開け、吹きこぼれそうになった泡を口で掬い取る。泣いて落ち込んでいる子どもの前では褒められたものではないと分かってはいたが、一杯くらいは勘弁してもらいたかった。
がオレンジジュースに口をつけるのを待ってから、土方は努めて静かに問いかけた。
「どうした? 何かあったのか?」
は両手で缶を握りしめたまま何も言わない。
まだ心の整理がつかないのかと思って少し待ってみたが、ちっとも口を開く気配がない。
「あのな、しゃべってくんないと何考えてるか分かんねぇんだけど?」
もう少し待ってみるが、やはり
は何も言わない。表情も変わらない。土方はどうしたらいいか分からなくなり、やけになって缶ビールを煽った。
さて、どうしてやったらいいのだろう。
沖田が子どもの頃にはよく土方が面倒を見てやったもので、剣の才能がずば抜けていたせいで周囲からおだてられ、甘やかされて育った生意気な子どもの相手をするには、土方も手を焼いたものだったけれど、まさか沖田と同じように接すればいいというわけでもあるまい。
今、目の前にいるのは泣きじゃくって疲れ果てた顔をした子どもだけれど、その背後に見え隠れする大人の
の気配を感じ取らずには、土方はどうしてもいられなかった。
屯所で働く
は、とにかく勤勉で働き者で、穏やかで朗らかで、怒らせると一筋縄ではいかないが、笑顔がきれいな気のいい女だった。そんな
の過去に、育ての親を恋しがって大声を上げて泣くような子ども時代があったとは誰が想像できただろう。
知るはずのなかった
の子ども時代が今、目の前に現れている。
見てはいけないものを見てしまっているような気がして、土方はどうしても目をそむけたくなってしまう。後戻りのできないかすかな罪悪感が首をもたげて、じっと自分を睨んでいるような気がした。
「夢を、見ているんだと思ってたんです」
ふと、こぼすように、
は呟いた。
「夢?」
は薄明るい中庭を、ぼんやりとした顔で見つめながらぽつりぽつりと話し出した。
「どんなに嫌な夢でも、目が覚めたらきっとあの寺子屋にいるはずだから大丈夫って、こんなわけの分からないところにいるのは、夢だから大丈夫って、ずっと思っていて……」
「自分に言い聞かせてた?」
「はい。でも、ちっとも目が覚めなくて、どんどん時間がたっちゃって、不安で、ぜんぜん眠れないし、もうずっと、朝は来なくて、このまま私は寺子屋に、先生のところに帰れないんじゃないかと思ったら、すごく怖くなっちゃって……」
「それで夜中にフラフラしてたのか」
はこくりと頷くと、小さな声でごめんなさいと謝った。
土方はうなだれた
の小さな頭を撫でてやった。
「そうか。お前、ひとりで寂しかったんだな」
そう言った途端、
の目にまた涙が浮かんできて、土方はぎょっと身構える。が、今度の涙は頬を伝ってはらはらと流れるだけで、爆発するような泣き方よりはずっと落ち着いていた。
「さ、さみしいいいいいいい。先生に会いたいいいいいいい」
「そ、そうだよな。突然こんなわけの分からん時代に放り込まれて、お前も辛いよな」
土方は
の背中をさすってやりながら、できるだけ穏やかに声をかけてやった。うまく慰めることができているのかは、まったく自信がなかったけれど、それでもこうしてやる以外に何も思い浮かばない。激しく泣き喚いているので、
の体は火が着いたように熱かった。
ひとしきり泣いて気が済んだのか、
はぐすぐすと鼻をすすりながら、オレンジジュースを飲んだ。泣きすぎて体の水分が足りなくなったのだろう。甘いジュースに、少しだけその表情が緩んだ。
「これはきっと、夢じゃないんですね」
「どうかな。俺はまだ夢見てるみてぇだと思ってるけど」
はぎょっと目を丸くした。
「そうなんですか?」
「そりゃそうだろ。昨日まで大人だった奴が、キャンディ舐めたら子どもになっちまってだなんて、そんなわけの分からん話があるかよ」
「大人なのにわけが分からないの?」
「そうだよ」
「大人なのに……」
「大人っつったって、お前が思うほど大したことはねぇんだよ」
「ふぅん?」
分かったような分からないような顔をして、
はぱちぱちと瞬きをした。ようやく落ち着きを取り戻したようだ。
土方はほっとして、涙の痕の残る
の熱い頬を、手のひらで拭ってやる。馴れ馴れしく触りすぎかと思ったが、
は嫌そうなそぶりは見せなかった。
今ここにいる
に聞きたいことがたくさんある。例えば、
のいう「先生」というのは、どんな人物なのか。あのしっかり者の
が、手放しに泣き喚いて恋しがるほどだ。よほど頼りになる人物に違いない。
に昔のことを尋ねるのはルール違反だと思っていたふしが、土方にはある。
の佇まいからは、昔のことは聞いてくれるなという確固とした意志のようなものを感じられたからだ。土方も、昔のことを根掘り葉掘り問いただすような、しつこい男にはなりたくなかったし、自分の身を振り返ってみても、
に話して聞かせられるようなことは何ひとつないから、お互い様だと思っていた。ふたりはそれで何の問題もなかった。
けれど、この小さな子どもを目の前にしていると、そういう気持ちが薄れてくる。舌足らずで言葉足らずな子どもの話を聞いてやりたい。そんな風に思えてくるのがなんだか不思議だった。
「もしかして、土方さんも寂しいの?」
その言葉より、手のひらにかかった
の熱い吐息の方に驚いて土方は慌てて手を引っ込めた。
「はぁ?」
は曇りのない純粋な目をして、真っ直ぐに土方を見上げてくる。
「大人の私がいなくなって、寂しい?」
「なんだよ、突然?」
「前に私に言ったでしょ。本当に何も覚えてないのかって。あの時、すごく寂しそうな顔をしていたから」
そんな顔をしていたかと、土方は思い返してみたが、鏡を見たわけでもないので分からない。照れくさくなって頬を掻く。
これが夢ならどんなにいいだろうと思っているのは本当だ。明日の朝、目が覚めたら、いつも通り、成人の
が食堂できびきびと働いていて、「おはようございます」と笑顔を向けてくれたら、それはどれだけ安心できることだろう。
胸に迫るものを感じて、土方は咄嗟に目頭をこすった。
ほんの数日顔を見ていないだけなのに、もうあの笑顔が懐かしかった。
「……まぁ、そうかもしれねぇな」
は真っ直ぐに土方を見つめている。その曇りのない眼差し。まだ汚いものを知らない目をした子どもを相手にしていると、つられて素直になりすぎてしまうのが少し怖かった。缶ビール一本しか飲んでいないけれど、酔いが回ったのかもしれない。そう思うことで土方は自分に言い訳をした。
「さみしいな。早く戻ってきて欲しい」
の小さな手が、土方の肩に触れた。その手は柔らかく軽く、けれど親身に、なぐさめるように土方の肩を撫でてくれた。
「大人の私と、今の私は違う?」
「あぁ、違うな」
土方がはっきりと即答すると、
は面白くなさそうに眉をひそめた。
「どう違うの?」
「少なくとも、大人のお前は寂しいからってびーびー泣いたりしねぇ」
途端に、
の頬が真っ赤に染まる。それがまるでゆでだこのようでおかしくて、土方は笑った。
「土方さんって意地悪ね」
「お前は泣き虫だな」
「……ごめんなさい」
「謝ることねぇけど」
土方は肩の上の
の手を取って、膝の上で握りしめた。子どもの体温はどうしてこんなに高いのだろうと、土方は不思議に思う。大人の
は、水仕事のせいかいつもひんやり冷たかった。このふたつの手は同一人物のものだとは、土方にはどうしても信じられなかった。
「私は、大人の私の代わりになる?」
は自信なさげな顔をして言う。
「いや。ならない」
きっぱり答えると、
は傷ついた目をして土方を見た。また泣くだろうかと土方は思ったが、
は我慢したようだ。堪えるように刻まれた眉間の皺が、痛々しかった。
「代わりになんかならなくてもいいんだよ。お前はお前なんだから」
「でも、大人の私も私でしょう?」
「俺には別人に見えるけどな」
「でも」
「お前、大人の頃の記憶がねぇんだろ。だったら別人みたいなもんだ。そもそも子どものお前の大人の頃の記憶ってなんだよ。どう考えても文法おかしいだろ」
「ぶんぽう?」
「まぁ、とにかく。無理すんなってことだ。また寂しくなったら我慢しないで俺に言えよな」
の無垢な瞳に向かって、土方は微笑んで見せた。
「寂しい者同士、少しはお前の気持ちも分かってやれるさ」
「……はい」
は聞き分けのいい顔をして頷いた。
20170729