半壊したビル、焦げた店舗、割れた酒瓶、アスファルトの道は黒く焦げ付き、消火剤の鼻を突く匂いがまだ辺りに立ち込めている。
土方は愛用の刀剣を左手でぎゅっと握りしめ、鬼のような形相をして夜の暗闇を睨んでいた。
当然のことだが、爆発現場のどこにも
の姿はなかった。その体からは、得体の知れない怒りのオーラのようなものが立ち上っていて、一声でもかけたらその瞬間に切って捨てられてしまいそうだった。
山崎は停車したパトカーの傍らに立ち、何も言わず、ただじっと土方の背中を見ていた。土方が激情に駆られて何か無茶をしでかさないように。
ただ、静かに見守っていた。
真夜中。
はあてがわれた宿の一室で、窓と扉をひとつひとつを見て回ってみたが、窓の外には面格子が嵌っていて、扉はつっかえ棒を噛ませているらしくぴくりともしなかった。逃げられる隙はきっとどこかにあるだろうと思っていたのだけれど、人質として捕えようというからには準備は万全のようだった。
仕方がないので一先ず脱出は諦め、
は用意されていた布団に横になった。糊のきいた新しいシーツは余所余所しく冷たくて、枕は高さが合わず全く眠れそうになかった。
布団の中で目を閉じて、
は土方のことを思った。
今頃、どうしているだろう。爆破事件の捜査のために徹夜をしているかもしれないし、攘夷志士との斬り合いがあったかもしれない。もしそうならば、大きな怪我をしていなければいいのだけれど。
そこまで考えて、
は目尻に浮いた涙を拭った。
土方の逞しい腕に抱きしめられて眠った夜を思い出して余計に寂しさが募り、堪らなくなって自分の体を力いっぱい抱きしめた。
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4/4 20161129