好き嫌い合い挽き 榛名元希
今日は合い挽き肉が安かったので、先週特売で買ったじゃがいも(2kgで498円税込だった!)を使ってコロッケを作ろうと意気込んでいたら、元希があからさまに嫌そうな顔をした。
「揚げ物はヤダよ」
「なんで? コロッケ美味しいじゃん」
「油もんは体に悪いんじゃねぇの?」
「何を言ってるの? いい若いもんが」
「衣が油吸ってやべーことになるんだって」
「トクホの油使ってるから大丈夫だよ」
「そこまでするなら他のもん作ってくれよ」
「ミートソースとか?」
「うーん」
「ハンバーグとか、あ、肉じゃがにしても美味しいよね」
「うーん」
「そぼろにしてごはんにかける?」
「……そのラインナップならハンバーグがいい」
「じゃぁそうする」
じゃがいもを洗って皮をむいてレンジでチンしている間に、玉ねぎをみじん切りにして、卵と牛乳とパン粉を用意する。ふかしたじゃがいもをマッシュして、合い挽き肉と材料を全てボールに入れる。
「はい、混ぜて」
ビニールの手袋を添えて差し出すと、元希はいやいやと首を横に振った。
「いや、できねぇよ俺」
「できるって、混ぜるだけでいいから」
「えぇー」
「働かざる者食うべからずって言うでしょ。はい、混ぜて」
元希は大きな手にビニール手袋をはめて、恐る恐る合い挽き肉に片手を突っ込む。その途端に、眉がへの字に曲がった。
「うっへぇ、気持ち悪ぃー。ぐにょぐにょするー」
「それがあなたのお腹に入るのよ」
「信じらんねぇ。ハンバーグってこうやって作るのな!」
元希はそれからなんやかや文句を言いながら合い挽き肉を混ぜ続け、不揃いな形のハンバーグ種を作った。大きすぎて絶対に火が通らなさそうだったので、全て私がもう一度手を加えなければならず、元希はそれを見てまたぶうぶう文句を言った。
そもそもハンバーグの作り方すら知らないだなんて、おばさんもナオちゃんも元希を甘やかしすぎだ。まぁ、子どもの頃から野球ばっかりやっていればこんなものなのかな。
「なぁ、これもう焼けてんじゃねぇの?」
「今蒸し焼きにしてるとこだから、ふた開けないで!」
油がはねて危うく指を火傷しそうになった元希がまた何か文句を言っていたけれど、無視した。そこまで面倒見きれるか。
20151109
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